Categories
メンタルヘルス 社会的共通資本

メンタルヘルスに於ける社会的共通資本

今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて

社会的共通資本(social common capital)とは

社会的共通資本は、宇沢弘文の概念。Commonsと同じような概念だと思う。社会的共通資本には、以下の3つがあるといわれる。

  • 【自然環境】大気、海洋、森林、河川、水系など
  • 【社会的インフラ】道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなど
  • 【制度資本】教育、医療、司法、金融、文化など

ここで資本という言葉を使ったのは、「資本」はある一時点における富のストックで「生産」や「消費」はフローの概念だからだと思う。

社会的共通資本と関連しそいうな用語に社会関係資本(Social Capital)という言葉がある。これは人と人とのがお互いに「信頼」(互酬性)でつながっている程度を意味する。この「社会関係資本」は「健康」に大きな影響を及ぼすといわれている。また社会的関係資本が豊な人ほど仕事ができるといわれているらしい。

「ボディイメージによるメンタルヘルス」ならば、以下のようなものが当てはまるのではないかと思う。

  • 【文化資本】衣食住の生活様式、動作所作の文化
  • 【社会資本】データベースや学識者などのコミュニティ
  • 【制度資本】教育制度や認証制度

「社会的共通資本」を管理するのは誰なのか?

宇沢は、「社会的共通資本」は専門家の知見や職業的規律によって管理運営されなければならないという。

「社会的共通資本」は社会全体の共通の財産であり、人間が人間らしく生きていくために必要不可欠なものですから、利潤追求の対象として市場的な条件に左右されたり、国家の統治機構の一部として官僚的に管理されてはならないという事である。

その具体例としてチャイルド・リサーチ・ネットというところで以下のような例をあげている。

戦後マッカーサーが厚木に降り立ってすぐの頃に、一高にジープで占領軍が来た。一高を占領軍の施設として接収するために来たのです。その時に校長だった安倍能成先生が、その占領軍に対して、「この一高はリベラルアーツの学校である。リベラルアーツとは人類が残してきた芸術、文化、学問のことであり、ここはその偉大な遺産を次の世代に伝える sacred place (聖なる場所) だ。そこを占領などという vulgar (世俗的) な目的のために使わせるわけにはいかない」と言って、追い返したのです。

このように、高い倫理観や優れた人間的資質に裏打ちされた専門家が、社会の共有財産である「社会的共通資本」の管理運営をするべきであるとのべている。こうした管理運営をするNPO的な組織、財団的な組織があるべきなのではないだろうか?

「社会的共通資本」とArt & Science

この「社会的共通資本」を守る為の倫理観や専門家という部分についてもう少し突っ込んでみたい。
 村の水系を守る為の祭りであったり組織であったり、聖なる場所(結界に守られた場所)を作る必要があるのかもしれない。